《MUMEI》
懺悔
「つか裕斗さー、メールも何もかも無視はねーよ、俺マジで凹んでるし…」
隆志は煙草の煙を乱暴に吐き出す。
俺を見る事もせずフェンスに寄り掛っている。
「ゴメン…」
「謝って貰ってもさ、…もう…」
「うん…」
――隆志とはつい出来心でしてしまった事…。
あまりにも自分が軽率過ぎて、マジで情けない。
関係を持った日から殆ど毎日メールを貰っていながら、俺は全く返事を返せずにいた。
つまらない言い訳とか必死にしそうな自分が想像出来て電話にも出れない。
メールも途中まで書くものの結局最後まで仕上げられなくて送信しなかった。
自分の色んな面でのだらしなさがマジでうぜー。
自分の意見が言えないせいでの失敗だらけな人生。
それが俺一人いじめられて済む子供時代とは違い、今は…
そのお陰で色んな人を傷つけてしまった。
病院から出た時、俺は意を決して隆志に電話をした。
隆志は他の誰かと一緒にいたみたいだけどそれを蹴って俺と今会ってくれている…。
隆志は歩き出し俺は後ろから着いて行く。
そしてベンチに座り
「ほら、隣座れ」
俺は隆志の隣に座った。
辺りはすっかり日が墜ち、人気のない小さな公園。少し歩けばサンシャインやハンズあって人がたくさん居るのに、ここは何時も何故か静かだ。
ちなみに隆志のマンションはここからめっちゃ近い。
「今日は、俺の隆志に対する気持ち…正直に全部言う…」
隆志を真っ直ぐに見据えながら俺は言った。
隆志も黙ったまま俺をじっと見つめてくる。
隆志は今まで会ったどの男より、飛び抜けて一番格好良い。
男が恋愛対象になる俺だから…、
良い男に抱かれてみたい願望がつい出てしまったのかもしれない。
今だって、俺は秀幸が好きなのに、
それでもまた隆志に抱かれたい願望が湧いてくるのを完全に否定出来ない…。
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