《MUMEI》
逃げ道
「頭と脚…?
…そういや、さっき見てたニュースのサイトに出てたな、その言葉。」


司から『この女じゃないか?』と聞かれて見せられた、あの記事だ。


「確か、その二つの部分だけ見つからなかったって書いてあったっけ。」

「そう。だから、これは俺の勝手な想像でしかないけど、その二つを探し出して原田美和子の墓に埋葬すれば…」

「助かるかもしれない…と?」

「可能性はゼロじゃないだろ?」

「…そうだな。」


美樹と優香は、司と洋平のやり取りを黙って聞いてはいるが、表情が強張っていた。


「ね、ねぇ…まさか本気で…その‥死体探しに行く気?」


美樹が恐る恐る二人に聞く。
言い方からして美樹は、いや、優香も反対らしい。
と言うよりは怖がっていた。


「下手に外なんか出たら、皆死んじゃうかもしれないんだよ?」


そうなのだ。

美樹の言う通り、考え無しに外へ出てしまえば、どんな事故に遭うか分からない。


「でも…室内に居て安全とも限らな…あ‥」




司は自分で言った言葉に恐怖した。

それは、もう自分達に逃げ道がないのだという事を告げていたのだから。

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