《MUMEI》
神様からのプレゼント
,




私は………



雅樹が好き。



この気持ちに嘘はない。



「嘘…………だろ?秋菜が俺のこと好きって………」


「嘘じゃない………多分」


「何だそれ!」


雅樹は笑った。


何時もと変わらない笑顔だ…。


「えっと〜…秋菜は俺の彼女でいいんだよ…な??」


「そうじゃなきゃ困るよ」


「じゃあ俺は秋菜の彼氏だ!」


あぁ……


私の好きな笑顔……。


やっと手に入れたよ…。


「熱愛報道されないようにしなくちゃな〜」


「……帽子かぶってくれば良かったのに…本当に馬鹿」


「だってまさか秋菜に会うとはこれっぽっちも思ってなかったし!」


「私も……雅樹に会えるなんて思ってなかった」


諦めようかと思って此処に来たんだもん。


忘れようと思って此処に来たんだもん。


雅樹に名前を呼ばれた時は本当にビックリした…。


夢かと思ったくらい。


「秋菜…」


「ん?」


「俺さ…秋菜と空港で別れる時何か言おうとしてたの覚えてるか??」


あっ―………




ー「秋菜…………俺……………」ー




あれのことかな…?


「覚えてるよ」


「あの時……俺、秋菜に自分の気持ち伝えようとしたんだよ…"俺は秋菜が好き"って…でもやめた……秋菜に迷惑かと思ったし…どうせもう会えないと思ってたから………あの後、俺すっげー後悔した…」


知らなかった………


あの時…
雅樹が私に気持ちを伝えようとしてたなんて…。


じゃあ雅樹は自分の気持ちを抑えたまま、私に笑顔を向けて走り去っていったの??



そんなの………
悲しすぎる……。


「でもこうしてまた秋菜に出会えた。この出会いは神様からのプレゼントかもな!!俺らは頑張ったもんなぁ♪」



神様からの……プレゼント…。


そうかもしれない…。



本当にそうなのかも…。



「"お前たちはずっと一緒にいなさい"って意味なのかも!!俺ら運命だぁ…☆」



「雅樹…馬鹿」


「馬鹿言うな!!」









ねぇ雅樹…………




神様が本当にいるなら……






どうして私たちはあんな"運命"を辿ることに






なってしまったんだろう―…







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