《MUMEI》
砂漠の夜1
フィガロに着いた一行は、フィガロ城を潜航させて、東の大陸に向かう事になった。丸一日は地中の中のため、セリスはサウスフィガロを出て初めてゆっくり休息を取る事ができた。
セリスにとって、旅の途中シャワーを浴びられなかった事が何より辛かったので、浴室を使わせてもらう事にした。

バスタブにつかりながら、セリスはこれまでの事を思い出していた。身体にところどころ残る古傷を見ると、帝国将軍時代の殺伐とした毎日が思い出された…

『罪のない人まで手をかけた私に、この上生きる余地など残されているのだろうか…』

4人で食事を取り、ティナの行方を追う行程を話し合った。フィガロ城は西の大陸の砂漠に浮上するという。
「南に行けば、ジドールもある。色々情報も入るだろう」
エドガーはしばらく城を離れていたこともあって、食事後すぐに席を離れたが、セリスとロック、マッシュは3人で酒を交えて話すことになった。セリスはあまり気が進まなかったが、一人でいても滅入るるだけだと思い直した。
「かーっ!久しぶりだよ、修行中は禁欲生活だかんな。」
マッシュは久しぶりの酒に一人でビールのグラスをどんどん空けている。ロックはそんな様子にため息をついて、
「セリスはあんま飲んでねーな?さっきから暗い顔してるし、ぱーっと飲んでスッキリさせようぜ」
と微笑んだ。ロックも風呂に入ったのか、ずっと巻いていたバンダナは外している。ダークブラウンの前髪を下ろした姿は、ずっと幼く見える。
ロックはセリスの蒼い瞳にじっと見つめられ、
「なんか付いてるん?」
と恥ずかしそうに目を逸らす。
「あ、ごめん…なんかロックがいつもと違うから…バンダナ巻いてないからなのよね、前髪下ろしてて」
「子供っぽいってよく言われんだよ…『童顔』だって…結構気にしてるんだけどな〜」
ロックは少し不満そうに頭をかく。
「いいじゃない、私はどちらかって言ったら、上に見られる事のが多かったわ。…自分の立場を考えたら当然だけど」
「まーセリスは美人だからじゃねーの?」
マッシュが急に横やりを入れてくる。
「…えっ?!な、何言ってるのよ!」
セリスは急に話題を振られて赤面してしまう。
「ほんとだって、ロックだってそう思うだろ〜?チョコボに乗ってる時、こっそり寝顔見てたし」
「おい!ちょっ…!」
マッシュはかなり酔ってるようだ、知らない間に樽のビールを半分空けている。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫