《MUMEI》 教科書貸して?「何かご用ですか?」 お嬢様がわざわざ訪ねて来たのだ…何か用があるのだろう… 「うん、あのね、英語の教科書貸して欲しいの」 「…英語ですか…ちょっと待って下さい」 僕は鞄を物色する… 「え〜ッと…あ!…はい、どうぞ」 英語の教科書を差し出す… 「ありがとう〜助かったよ〜京、大好き〜」 そう言って教室へと帰って行く… 僕とお嬢様はクラスが違う… 僕が三組で、お嬢様が一組だ… お嬢様はけっこううっかり者だ… だから、よく教科書を忘れる… そのために僕は毎日全ての教科書を持って来ている… けっこう重たくて大変だ… やがて、4時間目の数学が始まる… 「それでは、今日はここまで」 先生がそう言うと、委員長の号令で礼をする… 昼休みだ… ウチの中学では昼食はお弁当制だ… だから、昼食はいつもお嬢様の手作り弁当だ… お嬢様は何故か僕にお弁当を作らしてくれない… まぁ、お嬢様のお弁当は美味しいからいいが… 「京〜」 ドアの所を見れば… お嬢様がお弁当片手に手を振っていた… 「あ…はい」 僕はお嬢様の元に向かう… 前へ |次へ |
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