《MUMEI》
似タ兄弟
「…そっか…」
雫は俯いた。
輝は声をかけることすら出来なかった。
「すみません…」
輝が小さく呟いた。
「なんであなたが謝るのよ?」
「だって…だっ…」
「いいのよ」
雫が輝の言葉を遮った。
輝が首を傾げた。
「何がですか?」
「…だって…あなたを選んだのは他でもない姫様でしょ?」
輝は力強く頷いた。

しばらく黙っていた雫だが、突然口を開いた。
「…いい話をしてあげるわ。」
雫はそう言って、棚からレモンティーを取り出し、どうぞと言って輝の前に置いた。
「ありがとうございます」
輝は息で冷ましてゆっくり啜った。
雫は再び輝の反対側のソファーに腰掛けた。
「あたしもね…天使認定式には出ていないの…」
「えっ!?」
突然の告白に輝はただ驚いた。
「あたしもね…時雨に拾われたの…。時雨も紬様と同じ考えをしていた…。さすが兄弟よね」
雫は苦笑いしながら、レモンティーを口へ運んだ。
「熱っ!」
雫は少し舌を出して、苦虫でも噛み潰したような顔をした。
雫は立ち上がって、レモンティーに氷を2こ入れた。
「で、あたしもあなたと同じ様に『wingus』を使ったわ」
「で…どうなったのですか?」
輝が聞くと、雫は羽を広げてみせた。
真っ白で大きな羽…一枚一枚が輝きを放っている…。
輝は息を呑んだ。
「凄いですね…」
「ありがとう。あなたも成功するといいわね…」
輝は大きく頷き、部屋を出た。

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