《MUMEI》
「裕斗って基本性格ワリイよな…」
「うん…」
「一見人に優しーけどさ、基本めっちゃ自己チューじゃんか…、
裕斗が俺にその気がねーのは始めから分かってたよ。
だけどはっきり振ってくんねーとさ、俺だって終われねーんだよ…、ひたすらスルーとかマジ最悪じゃん」
「ゴメン…、隆志、マジで…ゴメン…」
隆志は真剣な面持ちで俺を見ていたが、ふと困った顔に変わった。
「もー何でだよ、その顔ずりーって…、可愛い過ぎだって…、可愛い顔してんじゃねーよ」
隆志の腕が俺の腰に回されぐっと引き寄せられた。
俺はなぜか身動きを取る事が出来なくて…
眼をきつく閉じた。
「な…、俺じゃダメ?俺…魅力ない?」
隆志は切な気に俺に静かに語りかけてくる。
「隆志は…魅力いっぱいだよ…めっちゃ格好良いし…つか隆志より格好良い奴知らねーし…
しかもめっちゃ優しいし…、
今だって……マジドキドキしてる…」
俺は正直な想いを吐く。
「じゃ、俺と付き合えよ…俺のモノになれよ」
髪を撫でられ耳を指先で探られ、俺の躰が震える。
――動けない…
何でだよ…
俺は…俺は…
気がつけば、信じられないけど…ごく普通にキスをしていた。
頭の中が真っ白で…
訳が分からない……。
「裕斗…俺のマンション行こ?」
――俺は……俺は……
自分が分からない…。
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