《MUMEI》
急げ!!
急げ、

急げ急げ!!!


一心不乱にペダルを踏む。



雨はいつの間にか止んでいて、


雲の切れ間から顔を出した太陽が、


雨に濡れたアスファルトを
きらきらと照らしている。


雨上がりの匂いと、湿り気を帯びた風が、
シャツを、髪を、なびかせる。


景色が通り過ぎていく。

汗が、頬を伝う。



もっと、もっと速く。



一秒でも、

一瞬でも速く!!



…一瞬でも長い時間、




あたしは、大好きな人の傍に―…




梶野のそばに、いたい。

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