《MUMEI》
弱虫
,




土曜日…


私は雅樹と私の家にいた。


私が話したいことがあるって言ったら仕事をオフにしてくれたんだ。


「で、話って何だ?」


「あのね………」


私は遥のことを全て話した。


学校を休んだこと…


様子がおかしいこと…


毎日、作り笑いをしてること…

腕に傷があったこと…


"遥"とゆう名前は、出さなかった。


雅樹は、頷きながら私の話を聞いてくれた。


「………そうか…」


全て話し終えると、雅樹はそう言った。


「私………心配なんだ……私が知らない間に何があったのか…聞きたくても聞けなくて……」


遥の気持ち……


何があったのか……


「私は弱虫……」


私はいつの間にか涙を流していた。


すると雅樹は優しく涙を拭いてくれた。


「その友達はさ…それだけで十分なんじゃないかな」


「………え??」


「秋菜がそう思ってくれてるだけで…嬉しいと思うよ」


「そうかな…?」


「俺だったら嬉しいよ…その友達はきっといつか自分から言ってくれるんじゃないかな…」


「雅樹…………」


雅樹は優しく微笑んで、優しく私の唇にキスをした。








雅樹―…



私もそう思っていたよ…。


遥は何時か私たちに話してくれるって………。




また何時もの明るくて元気な遥に戻ってくれるって………。




でも





現実はそんなに






あまくなかったんだよ―……






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