《MUMEI》
願い事
梶野は、すごく驚いた顔をしたまま、
動かない。


顔が熱くなって、下を向く。

あたし、ついに言ってしまった―…



「…相原」



梶野の声に、びくっと全身が震えた。



『ごめん』



っていう言葉が出てくるのが怖い―…




「―…相原、あの流星群の日の
おれの願い事…


『好きな人が、おれのこと
好きになってくれますように』


―…だったんだ」



今、何の話…??


不思議に思って、顔を上げる。


梶野と目が合う。


―…やっぱり、目が離せない。



梶野の唇が、動いた。










「…今、叶った」










見開かれたあたしの両目から、


暖かい涙が零れ落ちた。

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