《MUMEI》

アクア・サーキットに、けたたましい排気音と、騒がしく蝉の声が木霊している…


オレは目を閉じて意識を集中していた。

そして頭の中にアクア・サーキットのコースを思い浮かべる…


オレはいま NSR に跨り、U字コーナーを攻めている…

華麗なハング・オンから繰り出す、豪快な膝擦りに誰もが目を見張った!

そして最終コーナーで、金髪小僧を蹴散らす……

 

 

兄貴『なに寝とんねん!?…もうすぐ交替やぞ!』


(蹴散らしたいのに…)

空気を読まない自由人が、オレを現実世界に呼び戻した。

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