《MUMEI》

岡ヤンはライダー交替前の62周目に突入した。


オレは、いよいよ訪れる交替の時に備え、膝を軽く屈伸する。

そしてグローブをはめた手を両股に叩きつけて気合いを入れた!


兄貴『……。』

そんなオレを見て兄貴は、何やら言いかけた言葉を飲み込んだ。


(大方、期待してないから転ばず走れ…とでも言いたいのだろう…)

そんなこと言われなくても、オレの実力が通用しないことは解っている。


(気が散るだけや…黙っとけ!)

オレは心の中で毒づいた…

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