《MUMEI》
番外編3 このかの場合
日曜日の昼下がり…


眠気が襲ってくる…


…寝るか…


おやすみ………


目をつぶる…


バタバタと廊下を走る音が聞こえる…


うるさい…


「兄貴!」


やかましい声が聞こえる…

「…………………………」

無視……


「寝てんのか?」


「…………………………」

「……寝てる?」


だんだん声がおとなしくなっていく…


「……寝てる…よね…?」

何かがベットに入って来る…


………人?………


人…だよな…?


声からすれば女だ…


何かを囁いている…


「…えへへ……お兄ちゃん……大好き……」


(…………?…今…………お兄ちゃん…と、聞こえたような……
確かに妹は一人いる…
だが…奴は俺を“お兄ちゃん”などとは呼ばん…
ましてや“大好き”…?
など断じて言わん…
じゃあ…誰だ…?)


俺は目を開いた…


「……………このか…?」

「!!!!」


このかだった…


俺のたった一人の妹…


「お…起きてたの!?」


「……何してる…?…」


「えっと………………」


懸命に考えている…


真っ赤になりながら…


(………可愛い所もあるんだな……)


「まぁいいか…」


俺はこのかを抱き寄せる…

「キャッ!」


このかの綺麗な黒髪に顔を埋め…

「おやすみ…このか…」


「…………………うん…」

眠りについた……

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