《MUMEI》 異常危険な少年例えるならば…そう、一言で言うならば、その少年は異常だった…一目みる限りではどこにでもいる平和ボケした少年のイメージが大きい、だが少年の異常は性格にあった…。 あれはまだ少年、緑妖季紫(りょくようきし)が、高校に入って、まだ3日目の放課後に事件は起きた…事件といっても警察沙汰になるような事ではない…まあ学校側がそうしなかったという理由もあるにはあったが…事件は放課後、誰も寄りつかない不良集団の溜まり場で起きた、 「よう、兄ちゃん!金貸してくれや!」 「財布ごとな!」 「ヒャハハハハハハ!!!」 周りにはまだ5〜7人の不良がたむろしていた、一番奥のドスを効かせている奴がおそらくトップだろう、普通の者なら、すぐさま財布ごと出して簡単にカモになるような状況だ、 だが…季紫は…無表情だった…まるで、何にも興味が無い、全てがどうでもいい、そんな表情で… 「…帰っていいっすか?」 ただ、一言、なんてことはない誰だろうと関係無い、そんな一言、もちろん不良達の反応は… 「…ハァ?…何?ふざけてんの?ふざけテンスか!?ああ!?」 不良の1人が勢い良く季紫の胸ぐらを掴み上げた、もちろん不良達は全員、少年の無様な姿を想像した、…だがその想像はすぐに崩れ去ることとなる…何故なら、さっきまで無表情だった少年の顔が、笑っていたからだ、子供の無邪気な笑いではなく、例えるなら、獲物を見つけた強者の笑み、ニヤリと季紫は笑うと呟いた。 「楽しい…」 「…は?」 不良達は動かない、というより…動けなかった、季紫の妙な威圧感に誰一人として動けないでいた… 「なんで…?なんだ?何なんだ?これ?楽しい…やべぇ…!楽しすぎるだろ!?なぁ!!?」 答える者は誰もいない、みな、季紫の異様な雰囲気に呑まれていた… 「?!!?!?う…ウワァァァァァァァァ!!」 耐えられず不良の1人が季紫に向かい鋭い蹴りを入れようとするが…その蹴りは季紫の雰囲気を威圧感を…更に濃くした…。 季紫は胸ぐらを掴まれたまま、 "片手で蹴りを掴むとそのまま放り投げた" 掴む→投げる。季紫のしたことはそれだけだったが…周りの者をいきり立たせるには充分な行動だった。直後。 「おい!テメエラ!!何ボサッとしてやがる!!そいつを潰せやぁ!!」 その声を合図に全員が1人の少年に突っ込んだ、…だが…季紫は焦ることなく、素早く掴まれていた腕を振り折った、 「…!?グッ!ギァァァァァァァ!?!!?」 絶叫を合図に季紫は "全ての敵を一撃で沈黙させた" 方法はいたって単純。殆ど一塊で突っ込んでくる不良達を蹴りで前から全て吹っ飛ばした、それだけで、攻撃自体はかなり雑な方法…だが、季紫は圧倒的な力でその方法を成功させた。… 結果、季紫は約3秒という普通では…(その前に不良集団に突っ込んだ時点で普通ではないが)有り得ない倒し方をし、その結果、季紫はクラスどころか、学校中から浮いてしまった、ちなみに…不良集団を倒した後に季紫の放った言葉は…最初と同じ無表情で、 「つまんない…」 の一言だった… そうして、少年、季紫は知らず知らずのうちに仇名が付けられた…その名も"二重人格者" シンプルで圧倒的な危険さをもつ仇名そのものだった。 いつも通りの学校生活を終え、何気なく家に帰り着いた、季紫はバイトをしながらの一人暮らしで、親は季紫の幼かった頃に死んでしまっていた。 だが季紫はあまりそのことは気にしてはいない何故ならあまり記憶に残っていないからだ、なので季紫はいつも通りに誰一人居ない部屋の鍵を開け、扉を開こうとした、が季紫は開くのを止まった、何故なら誰一人居ない筈の扉の奥から話し声が聞こえてきたからだった……… ‡楽、臆、異の奇妙関係 に続く… 前へ |次へ |
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