《MUMEI》 名前そいつは、毎日のようにおれを訪れるようになった。 「ねえねえ、あんた名前無いのー??」 ある日、そいつは言った。 おれには、名前など、必要ない。 「…そうだ!!あたしがつけてあげよっか!!」 にしし、と笑って、そいつが提案する。 なんか、ろくな名前付けそうにない―… 「…ポチ!!」 ぽち…?? ありきたり過ぎないか…?? 「ほら、模様がポチポチしてるから!! …いいでしょ、ポチ!!」 模様… たしかに、おれの模様は茶色と黒の斑点だ。 まあ、いいか。 名前があるってのも、悪くない。 「ポチ〜♪」 そいつが、おれの頭に手を伸ばしてきた。 その瞬間。 忘れかけていたあの恐怖が蘇ってきた。 『殴られる』 ―…おれはとっさに、そいつの掌を、 噛んでしまった。 前へ |次へ |
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