《MUMEI》

それから3日経ってもそいつは現れなかった。


おれは、どうすることも出来ず、


空腹に耐えかねて、民家の並ぶ通りを彷徨っていた。



そのとき。



「野良ですね」

「確保するぞ」



大人の男の声がした。



振り返ると、ニンゲンが2人、
おれを追って走ってくるのが分かった。



『ほけんじょ』というやつか??


おれは力いっぱい走った。



ひょこひょこ、ひょこひょこ…


息が切れる。

足がもつれる…





ああ。


だめだ、追いつかれる。





―…あいつに、悪いことしたなあ…



食いもん、たくさんくれたのに。




…名前、付けてくれたのに…




おれ、あいつの名前知らない…




あいつはおれを、許してはくれないかなあ…




―…男たちがおれを捕らえようとした、その時だった。




「やめて!!!」



叫び声と共に、1人の子どもが現れ、
おれの前に立ちふさがった。






―…あいつ、だ。

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