《MUMEI》 「……あつー」 まともに顔を見合わせるのが照れ臭い。 つい、関係のない話題にしてしまった。 まだ体は放熱途中で、それに反して彼は涼しかった。 まだ下半身は立たなくて和らげられたはずの中もヒリついている。 思い立ったように国雄が半身を起こす。 「…………え?」 あれよという間に浴室まで引きずられた。 上手く動けず床にへたりこむ。 壁に寄り掛かり、体重を預けシャワーからぬるま湯を出す様を見届ける。 弱めの水圧で首筋から浴びせてきた。 大の男二人では窮屈な浴室だ。浴槽も国雄が肩まで浸れるとは思えない。 手際良く髪を洗う、上手くはないけど親みたい。 優しい指先だった。 「痒いとこは?」 「情事の後ってもっとベッドの上で互いに引っ付いたりするものじゃないの?」 「清潔にしないと雑菌入るだろ。 病気になる。」 真面目に言われた。 「潔癖?」 「馬鹿にしてるだろ」 睨まれる。 「ああ、そうか……ビョーキなったんだ。」 「学生の頃にな。投薬に禁欲に通院の繰り返し、通院とストレス解消のギャンブルに学費使い込んだのがバレて家族とは絶縁したし、散々だったよ。 友達も無くした。」 「体の?」 「……よくお分かりで。」 目を閉じて頭を濯がれた。 壁に頭を向かされて、だらりと垂れた首から背中まで泡で満遍なく埋め尽くされる。 「中は?出した?」 隙間から躊躇も無く恥骨に触れられた。 「……いぃぃ 、自分で出来る。」 新しい波に打ち震えるのを堪え、肩と頬をぴったり壁に付け浴槽の縁に捕まり立ち上がろうと息む。 腰が微動しただけだった。 浮いた腰が床に付く瞬間、彼の手が臀部の下敷きになり孔へと指が宛がわれた。 「まだふにふにだ。」 指で穿孔された。 「掻き出し くらいっ、……ア!」 床に胸と膝を付いて腰だけ支えられ、ぐりぐり捏られている。 「へばって動けないくせに……。ウォッシュレット無い分我慢しろよ?」 「ア……っ」 内側が剥くように皺を張られ後孔にシャワーを注がれる。 下腹に孕んだ水が圧迫して気持ち悪い。 「……反応するくらいイイんだ?どれ、吐いてみ?」 「くぅ …………んっ」 ブチュ 中心から手が移行する。下腹を揉まれ力が入ると風通しの良い開花によって溜まった水と入り交じるものが音を立てて洩れた。 「前もう筋張ってる。……さっきので腰砕けたのに、若いね?」 高まり、腫れた芯を平然と握られる。 痛みを伴う快感だ。 「罰だったんだ全て。人を人と慈しまず、傲慢に振る舞った代償。」 一人で語りながら不意に触れられる彼の皮膚は温水に滴っていても何処か冷えていた。 膝に抱え込まれて隅々まで洗われる。 重心は彼に預けた。 「今は……違う。償っているじゃないか。だから、俺だけ想ってて。 それでも譲れないなら、俺を並べて。 手伝うよ、国雄が償い続ける分ずっと傍に居させて」 濯ぐ水の流れの如く彼の鍛え上げてある腿に指を這わせた。 「ずっと居られるかな。 俺はホストで光は芸能人、男の恋人がいるなんて知られたら互いにどうなる?」 突き付けられる現実。 「じゃあ何、国雄は俺とうそういう関係になりたくないってこと? 無かったことにするの? 散々淫して嬲っていざ通じ合えば離れるの?」 疑問ばかり頭に過ぎる。 簡単に好きと言えば伝わる気持ちではない、捻れ歪みやっと真っ直ぐでいられるような疼き。 醜い恋慕が皮膚を炙り灼く。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |