《MUMEI》
メール
「おい?」
呼び掛けてみるが、やはりミユウは動かない。
「……マジで寝てるよ」
タイキは呆れ気味にため息をつきながら、化粧をしたまま眠るミユウを見つめた。
「化粧、布団につけんなよ」
呟きながら、タイキは彼女の体に布団をかけてやった。

それから自分はどうするべきか考える。

はたしてミユウを置いて学校へ行ってもいいものだろうか。

時刻を確認する。
登校するのならば、そろそろ準備をしなければならない時間だ。

 少しの間、ミユウの寝顔を見つめて考えた後、タイキはため息をついてキッチンへ向かった。
釈然としない気持ちのまま学校へ行っても授業に集中できないだろう。
タイキは学校をサボることに決め、とりあえず朝食をとろうとパンを取り出した。

 パンをかじりながらテーブルの上を見ると、ミユウの端末が置きっぱなしになっていることに気がついた。
ミユウの様子を窺う。
彼女はぐっすり眠り込んでいる。
タイキはそっとミユウの端末に手を伸ばした。
「ま、どうせロックかかってんだろうけど……」
そう呟きながら端末を開く。

「……あれ?」
その端末にロックはかかっていなかった。
しかも画面はタイキが見慣れたノーマルな状態だった。
「動くかな?」
ちょっとした好奇心から、タイキはキーを押してみた。
画面の表示が切り替わる。
メール機能が起動したようだ。
「いや、さすがにメールはやばいよな」
そう言いつつ、やはり気になる。

これを見れば彼女の正体が少しでもわかるかもしれない。

 悩んだ末、タイキはキーを押そうと指に力を入れた。
それと同時に、端末から電子音が鳴り響いた。

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