《MUMEI》
場所・・
街をしばらく走り、ある建物に入る。
途中に出現したモンスターはエミが火力にモノを言わせて吹き飛ばしたため、時間は掛からなかった。
「〜〜〜〜〜〜・・」
狩月に聞こえない声で何かを唱えるエミに応じるように壁に見えていたモノが開く。
「・・・こっちへ。」
振り返りもせずに地下への階段を下りていくエミ。
「・・・」
無言でそれに続く狩月。
しばらく歩いていると背後で壁の閉まる音が聞こえた。
数分、階段を黙々と歩き、辿り着いた場所には幾つかドアが並んでいた。
その一番奥のドアを開けると、エミは無言で室内へと入っていく。
続いて入った狩月、その場所は、医務室と言うよりは、手術室と呼ぶべき部屋であった。
黙って、琴の手当てを始めるエミ。
それに習うように狩月も自分の傷の手当を始める。
「ふぅ・・」
琴の手当てが終わったのかエミが小さく息を吐く。
「エミ・・ココって、何?」
「機密により答えられない。」
以前に会ったエミからは想像もできないほど冷たい声でそう言い捨てるエミ。
「さっさと起きろ!このクズ共が!この私が、危険な目に遭ってるんだぞ!!」
怒声が聞こえた。
「誰か・・居るのかな?」
「この声は・・」
ゆっくりと立ち上がるエミ。座っていた場所には血溜まりができていたが、狩月からは見えない位置。
「狩月・・ごめん!!」
ごっ・・
鈍い打撃音が響き狩月は意識を失って倒れた。

「ココか・・」
エミと狩月が十数分前に入った建物の前に一人の剣士が佇んでいた。
「ここは一般人は侵入禁止だ。早く立ち去れ。」
警備でもしているのか、数人の守護騎士がその建物の前に立っている。
「・・邪魔だ。」
交差は一瞬、三人居た守護騎士はその場に倒れこむ。
「濃紺の髪・・それにその・・双剣・・まさか・・」
「質問に答えろ、枢機卿はこの中だな?」
劫火を突き付けながら倒れている守護騎士へと問いかける。
「・・・枢機卿ならとっくに避難した。」
「そうか。」
その一言に小さく頷きながら、その建物の中へと入っていく。
後には動かない三人の守護騎士だけが残された。

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