《MUMEI》
・・ある騎士の過去
「ゴーレス枢機卿、何故このような場所に?」
エミが目の前に立ってなにやら機械を操作している男に声をかける。
「・・・ふん、知れた事だ。雑魚の守護騎士など当てにならないからな。こっちを使うだけだ。」
部屋の中には3人の人間が眠るように壁に鎖で繋ぎ止められていた。
「・・しかし彼らを使うのはあまりに危険です。それに・・」
「非人道的だとでも言うのか?13課の化け物共が、そんな事を言うのか?」
「・・・・・・申し訳ありません。」
無表情に頭を下げるエミ。
それを見て、バカにしたように笑うゴーレス枢機卿。
「まぁいい。」
ピっと電子音が鳴り、鎖が音を立てて地面に落ちる。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
立ち上がった三人の目は虚ろでガラス球のように何も写してはいなかった。
「フィリアス教、第8位枢機卿の名の下に命令する。No122、No123、No124よ、私を護衛せよ。」
虚ろな目を枢機卿に向けると、三人は小さく「はい。」と返事をする。
「・・さて、行くとするか。13課、さっさと案内をしないか!!」
三人の反応を見ていたゴーレス枢機卿は満足そうに頷くとエミに向かって怒鳴り声を上げる。
「・・・・」
答えず、ドアを睨むエミ。
「・・死者を弄ぶような事を平然と・・何故そんな事ができる・・」
ドアを開けて部屋へと入ってきた人物は双剣を抜き放ち、ゴーレス枢機卿を睨み付ける。
「は、弄ぶだと?こいつらは死んだ守護騎士や聖騎士だ。罪を犯した役立たずのクズをどう使おうが関係あるまい!?」
当然だとばかりにあざ笑う。
「お前を・・殺す!」
消えたと思うほどの速力をもってゴーレス枢機卿に斬りかかるシンギ。
「っつ!」
間にエミが飛び込み、魔導銃で剣戟を防ぐが・・
「邪魔だ!!」
一閃の元に深々と肩口を斬られ、吹き飛ばされる。
「ぐぁ・・」
「何をしている!!さっさと守らんか!!」
我に返ったように叫ぶゴーレス枢機卿。
その声に応じるように三人がシンギへと攻撃を仕掛ける。
「・・く。」
小さく舌打ちをするとその三人も即座に斬り伏せる。
「後はお前だけだ。」
蒼海を突き付け、ゴーレス枢機卿を睨み付ける。
「貴様・・シンギ・ノトスか!!」
「だったらどうした?」
「お前の話は聞いているぞ!女一人守る事さえできずに騎士を辞めた最低のクズだとな!!たしか・・その女が最初の成功例と言われているが・・所詮、道具に過ぎんのだよ。お前も、その女も、ココの3匹もな!!」
狂ったように笑い声を上げるゴーレス枢機卿。
「・・・・貴様!!」

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