《MUMEI》
再ビノ外出
輝は自分の部屋に戻りベットに寝っ転がった。
高い天井が見える。

輝はベットから体だけを起こし、羽を広げた。
真っ白く輝きを放っていた。

―輝にはこの羽に異変が起こりそうで怖かった―

輝は羽を綴じてテーブルの上に置いてあったタルトをくわえた。

―ベランダには黒い影があった。
しかし、輝は全くその存在に気付いていなかった。


輝はタルトを食べ終えると、紬の護衛に行った。
紬は気まぐれで急に出掛けることがある。今回もそれである。
「姫様、今日はどちらへお出かけで?」
「敬語使うとクビにするわよ」
「はい…」
紬はくしで髪を解かし、真っ赤なゴムでポニーテールに結んだ。
「んー…そうねぇ…泉の森がいいわ」
「泉の森ですか?又急に何故?」
輝が聞くと、紬はくしを置いてギロリと輝を睨んだ。
「契約天使は…?」
「はい!ご主人様の意見を絶対とする!!」
輝は背中に冷や汗を流しながら言った。
紬はにこりと笑って、
「よろしい」
と言い、ベランダからロープを下ろして、庭へ下りた。
輝は羽を広げ、少し浮いたままの姿勢で紬の横に止まった。
紬は下り終わると、スカートの埃を掃った。

「さて、行くわよ」
「あっ、はい!」
紬はスタスタと先に歩いて行った。
輝は慌てて紬の後を追い掛けた。


―2人の後を追うのは…黒い影…―

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