《MUMEI》
僕は黒板
僕は黒板。
何も書かれていない、
まっしろな黒板。



短くなった3色のチョークも、
使い古した黒板消しも、
誰か自分を使ってくれることを、
ひっそりと待ち続けていた。



だけど、いつからだろう。
元気いっぱいの子供たちも、
笑顔の絶えない先生たちも、
いつのまにか居なくなってしまった。

教室の空気は冷たくて、
机も椅子も、
皆が居なくなった時のまま。


だけど僕は信じていた。
いつか元気の良いたくさんの子供たちが、勢いよく教室にやって来ることを。

いつか僕たちを大切に使ってくれることを……。



僕は……僕たちは待ち続けた。

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