《MUMEI》

「な、腹減んね?」

俺は握り込んでいた手で涙を拭う。

「ピザでも取ろっか?夜食ってねーし…、な?」





俺の髪に隆志の暖かい手が触れ、指先で軽くすかれだした。




そのまま耳たぶを摘まみ撫でられ、…やっと優しく扱って貰えた気がして…、
何となくだけど、気持ちが落ち着いてきた気がした。




俺は無意識にその手を掴み、唇へと持っていく…。





すると隆志はそのままズルズルとベッドに寝そべってきた。






隆志は、直ぐに俺の背中に腕を回しきつく抱きしめてきた。







――隆志は俺の頭の上に顎を乗せた。




太い鎖骨と滑らかな肌…、隆志の堅い胸にきつく寄せられているお陰で鼻先に温もりの匂いを感じる。





俺は眼を閉じ隆志の背中に腕を回す。






隆志は俺の背中を優しく撫でる。





「俺は謝んねーからな」





「うん…」




――当然だ。隆志は俺に謝る事何もしていない。






「ピザで良いよな?」





「うん…」







煙草のせいな苦いキス。





擽る様に舌を絡ませ緩く吸われ、しかし隆志は簡単に止めた。






隆志は俺の耳元に





「良い子にしてな」




と、甘く静かに言うと、




俺とベッドからするりと離れた。











――隆志は注文を済ませると、先にバスルームへと消えた。




脱衣所からの灯りで部屋の中に多少の色が戻る。





俺はベッドヘッドに寄りかかりながら、煙草を吹かしだした。







棚の上にあったバイブに電源を入れスライドさせてみると先端がピカピカ光りながら露骨にうねる様な動きをしだした。





もう片方もスライドさせるとブルブルと振動し始まる。





何だか形もリアル過ぎで 、始めてじかに性玩具を間の当たりにしたけど…





何だか笑えてきた。






こんな滑稽な玩具ケツに埋めて、ヒーヒーよがり狂いながら精液を吐き出す俺って…



なんか、めっちゃ笑える。








俺は電源を切り、煙草を灰皿に押しつけた。








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