《MUMEI》
彼女の名
「・・えっと・・君、誰?」
エミが居心地悪そうに尋ねる。
「清・深緑(セイ・シンリョク)だ。ロゼの命令であの枢機卿を見張ってたんだが・・」
「とりあえず、敵では無いんだね。なら・・ちょっと手を貸して。」
「・・・やれやれ、あいつも厄介な任務を任せるもんだ・・」
文句を言いながらもエミに肩を貸し、ゆっくりと歩き始めるセイ。
「行こう、ロア・・で、あってるよね?」
「・・はい。」
少し後ろを振り返った後、ロアもエミに続く。
「とにかく、一番奥の部屋へ。」
ドアを出たエミが狩月たちが居る部屋を示す。
「・・・そこの、この二人も担いでいけ。」
「はぁ!?」
シンギが奥の部屋で意識を失って倒れていた狩月と琴を当然のように清に向かって投げ渡す。
「ちょ・・オイ!!」
ゴン・・
何とか琴は受け止めるが・・狩月は床にぶつかり鈍い音をさせる。
「ぁ・・」
「ぅぅぅ・・・痛い・・」
頭を押さえながら立ち上がる狩月。
「大丈夫・・?」
ロアが立ち上がった狩月を見ながら声をかける。
「あ・・うん、ソコまで酷くは・・ってリース!!?」
ロアの顔を見て驚く狩月。
「・・妹を知っているの?」
「え、妹?じゃあリースの・・」
「姉よ。そっか、リース元気にしてるんだ。」
良かったと優しげに微笑むロア。
「お喋りはソコまでだ、来るぞ!」
シンギが双剣を抜き放つ。
「手当てくらい・・しないと辛いんだけど!!」
エミが不満そうな声を上げる。
「120秒だ、それ以上は待たん。」
階段の下、モンスターが次々と侵入してきている場所へとシンギとレイが突撃していく。

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