《MUMEI》
焼却・・
「レイ?」
立ち止まっているレイに声をかけるシンギ。
「・・シンギ、炎の用意だけお願い。ココを・・潰すから。」
レイが手にした剣で己の手首に傷をつける。
「何を・・」
問いかける間も無く、レイの手首から流れる血が霧状に変化していく。
「・・鮮血を持って武器と成し、その言葉を持って神音と化せ・・」
紅い霧となった血は周囲に居たモンスターを覆い、
グシャリ・・
握りつぶすかのようにモンスターを肉の塊へと変えていく。
モンスターから溢れた血は同じように霧状へ変化し、周囲へと広がっていく。
「・・血が血を求め、血が血を拒む・・」
詠唱とも取れない淡々とした言葉が、レイの口から流れていく。
「・・炎を用意すれば良いんだな?」
シンギが諦めたように劫火に魔力を通し始める。
「浸透・・・完了。シンギ、行きましょう。」
周囲の空気が薄紅色に染まったのを確認し、レイが傷口を押さえながら地上へと歩き出す。
「あぁ。」
頷き、後に続くシンギ。
「レイ〜速く。」
エミの声を受けながら地上へと出る。
「危険だから・・少し離れて。」
静かに言いながらレイがシンギに向かって頷く。
劫火に籠めた魔力を解き放ち、炎を発生させる。
「・・・・」
無言で地下に向かって炎を飛ばす。
ゴオオオオオオン・・・・
重く響く爆音と共に、地下への入り口の上にあった建物が崩壊しながら沈んでいく。
「な・・なんだ!?なにをしたんだ!?」
セイが驚いたようにレイに詰め寄っている。
「・・・在ってはならないモノを焼き払っただけ。」
それだけ呟くとレイは街の外へと歩き出す。
「それで、良かったの?」
「そうする事が一番良いと思ったから。」
エミが問いかけ、レイは静かに答えた。
「・・・・まぁいいか。」
セイが独り言のように呟いた。
周囲の警戒をしながら街の外へと向かう。

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