《MUMEI》 内心ドキドキ松田が黒板に女の子の名前を書いた。 「名前は井上加奈さんだ。仲良くしてやってな。」 「井上加奈です。よろしくお願いします。」 頭を下げて自己紹介をした。 「席は…、龍宮の隣だ。龍宮いろいろよろしくな」 僕は無視した。 「あんな奴だがよろしくな」 松田が小声で女の子に呟いた。 「はい」 返事をしてこっちに近付いて来た。 「井上加奈です。よろしくお願いします。」 女の子は僕に頭を下げた。 「…よろしく」 僕は、ぶっきらぼうに答えた。 ぶっきらぼうにしていたが、内心嬉しくてドキドキしていた。 これから苦しむ事など知らずに…。 前へ |次へ |
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