《MUMEI》
友達
「僕となんの話をするの?」




「う〜ん、なんでもいいや」




「…なんでもって。何も考えてないの?」


「うん。」




…なんだんだこの子。やはり天然か。


「……なんか聞きだいことある?」



「あなたの事知りたい。」

「僕の事?」

「そう」



僕の事を知りたいなんて言う子は、初めてだった。


「何が知りたいの?質問してくれないと、わかんないよ。」



「じゃあ、なんで1人でいるの?1人で本読んでたり、屋上にいて楽しい?」


唐突な質問だった。
「1人が好きだから。てゆか、僕には友達がいないからかな。僕は、よく嫌われるんだ。
まっ、気にしてないけどね。」


「寂しくないの?」


「寂しくないよ。慣れたから。」


本当は寂しかった。でも、誰かを傷付けるのは嫌だった。多分僕は我慢できずに噛みついて血を吸いたくなるだろう。



「なら、私が友達になる。」


「えっ!!」


驚いた。その言葉は、嬉しかった。でも…。


「イヤ?」


「イヤじゃないよ。でも…」


「でも?」


「僕は、きっと井上さんを傷付ける。それでもいいの?」




「いいよ」




嬉しかった。でもどうして傷付けるかは、言えない。

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