《MUMEI》

俺も…気合いを入れて隆志を見る。




――このままじゃいけない。確りしろ、俺…。







「付き合わない」







自分でもびっくりする位、はっきりと言えた。





















隆志と俺は暫く見つめあっていたが、先に隆志から視線を外し、俺の肩からも手を離した。






「ははっ、ちょーウケる…」






隆志はビールをぐっと飲んだ。





「…やっぱ俺より好きだって言ってた奴の方が良いの?」





「そうじゃない…、
もうなにがなんだか分かんなくなったから…、全部リセットして考え直してみる、だから、俺は誰とも……付き合わない」





俺は烏龍茶をぐっと飲みほす。






隆志の視線を感じながらも俺は意味もなくピザをガン見する。






「じゃさ、俺はまだ望み持ってて良いって事?」





「…はあ、分かんない、全部未定!だから俺自身何がなんだか分かんないんだって、勝手にしてよ、
つかもう疲れた!」






俺はリングを外し、テーブルの上にコトリと置いた。


「返却する」






すると隆志は直ぐにリングを取り上げた。





「つか今更返却されてもなー、裏見てみー?」





隆志は俺の眼の前にリングをかざしてきた。








「…マジ?」







――隆志からって…俺の名前が掘ってある…。





「マジっておい…、つか普通入れるだろ、考えなかった?だからこれはお前のモノなんだって」






隆志に左手を掴まれ、またリングをはめ込まれた。





「俺は一回あげたもん返せなんてぜってー言わねーし…、つかめっちゃ欲しかったんだろ?
いーよ、もう別に…
これやるから俺と付き合えなんてつまんねー事言わねーよ、
あーあ、俺もーなんか力抜けた!
もう食べる、裕斗も食え、冷めると不味いぞ」







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