《MUMEI》 陥落の刻、再び…98周目… それは直角コーナーをクリアしたときだった…。 背後に忍び寄る敵車の気配に、オレの意識が削がれてゆく。 (そろそろ来る頃だ…) その"気配"の正体は容易に予測できた。 オレは思わずS字クランクの一つ目にブレーキを遅らせて進入した。 だがそのアプローチは、本来ならば有り得ないような、後先を考えない愚かな真似だった。 気配の主に先行を許す刻を1秒でも遅らせたいという焦りが、無意識のうちにオレに愚行を選択させた…。 前へ |次へ |
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