《MUMEI》
陥落の刻、再び…
98周目…

それは直角コーナーをクリアしたときだった…。


背後に忍び寄る敵車の気配に、オレの意識が削がれてゆく。


(そろそろ来る頃だ…)

その"気配"の正体は容易に予測できた。


オレは思わずS字クランクの一つ目にブレーキを遅らせて進入した。

だがそのアプローチは、本来ならば有り得ないような、後先を考えない愚かな真似だった。


気配の主に先行を許す刻を1秒でも遅らせたいという焦りが、無意識のうちにオレに愚行を選択させた…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫