貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》月と太陽と小さな惑星。
ひんやりとした感触を額に感じて目が覚めた。
「あ、起こしちゃった?」
アキの白い手がわたしから離れて行くのが見えた。
「弟クン、案外普通のオトコのコだったね」
「ん?」
「あんたの話聞いてたら、すごいファンキーなコに思えたんだけどなぁ」
ニンマリとした中に、少しだけ残念さが滲んでるアキの笑顔。
「…どんだけ期待してたの?ウチの弟に」
その横顔に、意地悪く呟いてみる。
「いやいや、期待とかそういうのとは違うんだけどさ。…はい、これ」
目の前に保険証を差し出される。
「ってことで、まだ窓口開いてる時間だよ。出られる?」
「うん」と返事をして、ゆっくり起き上がる。
アキが部屋に干してあるわたしの服を、何点かピックアップして着せてくれた。
「あたしにつかまっていいから、頑張って立ち上がんな」
「大丈夫だよ、ちゃんと一人で立てるから」
云い終わるや否や、わたしは熱の所為かフラついてしまう。
アキが「ほら見たことか」とばかりに、わたしを支えてくれる。
「…もう少し、信用してよ」
耳元で聞こえた声に、ドキッとした。
わたしに対するアキの本音を聞いた気がした。
信用はしてるつもり、だったんだよ。
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