《MUMEI》

何処ここ?


…………うーん。
背中痛い。
椅子が集結され寝床になっていた。
どうやら、空き教室みたいだ。

寝不足と過労でまた貧血したらしい。
……情けない。

足元には東屋からメモが。


[一般公開終了後に第一体育館で決勝戦中。
パフォーマンス、カラオケ決勝進出!]



決勝……はっ!今何時?





体育館に入るとステージ端にスタンバイしていたクラスメート達を見つけ、駆け寄る。


「木下、大丈夫か?」

南が顔を覗く。

「今カラオケの決勝中で、トリで七生が歌ってるの。次すぐパフォーマンス。」

南に説明されてステージを見る。七生がパフォーマンスの格好で歌っていた。

「倒れたりして頼りないかもしれないけど調子良くなったし、パフォーマンス、出ていいかな?」

「聞かないのそういうのは!早く着替えて来てホラ、化粧もあるんだから!」

「花形がいなくちゃ味気ないし!」

「皆でやるからやっぱ学校祭だよな!」

苦手だと思っていたクラスの人達が中心になって俺の背中を押してくれた。

足引っ張って完成度下げるかもしれないのに、皆本当に今日を楽しんでいる。



あ、有難うー。

貧血だし文科系な俺でも参加していいんだ……

俺の阿呆。頭の中七生ばっかで学校祭成功させようとしていなかった。
自分のことで考えすぎて貧血するし自己中だった。
一生懸命な皆に対して失礼この上ないじゃないか。


今日くらいは七生から離れてもいい。
学校祭だもの。

俺の全てが七生の訳じゃない。

たまには七生を第三者として遠巻きに見つめるのも新しい発見があっていい。

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