《MUMEI》
櫻ノ木ノ下ニハ。ボクノリボンヲキミニ。
赤いりぼんが、映えて綺麗な日は、泣いてる人なんていないと思ってた。




それは、春のよく晴れた朝だったの。

わたし、あんまり気持ちいい朝だったから
とっても早起きして、春色のワンピースを着て朝ごはん作ってたの。


そしたら、お友達から電話が、掛かってきて、
「どうしたの?」って聞いたら、
「春くんが、死にたいって言ってる」って。
                  
正直なんで、
わたしにそんなこと報告するのかしら?
と思ったから、そう言ったら、春くんカラカラに渇いてばらばらになったひまわりみたいに、死んだ声で、

「澤城…澤城…」
何回も、わたしの名前を呼ぶから、仕方ないなと思って、春の綺麗な空の下に飛び出したの。




その時の空は、綺麗すぎて、忘れることなんてきっとないだろうな、って思った。

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