《MUMEI》
遂に………
,




「雅樹……………」




私が雅樹を呼んでも雅樹は返事をしない。



目は私を見ていない。




一方、雅也は………



私の隣まで歩いてきていた。



2人はお互い、見つめ合う…。



やっぱり、2人は何かあるの??



すると雅也がいきなり口を開いた。




「彼女と仕事、どっちが大切なんだよ??」




「久しぶりに会ってまずソレかよ…」



雅樹は呆れ顔。


雅也は目が何時もと違った。



「秋菜は大切だ…何よりも。だけど仕事も大切なんだよ。この仕事は秋菜が気づかせてくれた俺の人生……秋菜がいたからこそ俺の今がある。この仕事をちゃんとやらないと、秋菜を裏切ることになるんだよ」



雅樹―………



そんな風に思ってくれていたんだね…



「雅也こそ何??秋菜は俺の彼女なんだけど。あんまり近づきすぎるなよ」



「お前が秋菜を1人にするから俺が秋菜の傍にいるんだよ…悪いか??」




何なの…??
2人は一体、何なの…??




似てる横顔―…


笑顔……


温もり……


仕草………


歌声……


優しさ……


背中……


2人は―……………





「雅樹―…」



「何??秋菜」




違うかもしれない…


私の勘違いかもしれなけど…



「雅樹の名字………何??」



「俺の名字…??」



「………うん…」



雅樹は一瞬、雅也の方を見る。


すると、雅也が……



「もう、言うしかないだろ?」



「だよな………」




そして遂に、




雅樹は言った。










「"夏川"だよ…俺の名字は夏川だ………本名、夏川 雅樹…そんで……















雅也の双子の兄―………」













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