《MUMEI》
雨の後
「・・・」
その光の雨は遠く、避難していた人々にも見えた。
永遠に続くかと思われた光の雨は十秒足らずで止み、力を使い果たした彩詩がハンディングに抱えられながら地上へと降り立つ。
「残存モンスター0。お疲れ〜」
地上に降り立った彩詩とハンディングを気楽に迎えるキティホーク。
アイズやボンカー達は言葉も無く、呆然と彩詩とハンディングを見ていた。
「・・すまぬ、我も少し休ませて貰うぞ。」
そう言いながら崩れ落ちるように倒れこむハンディングをキティホークは無言で抱きとめ、静かに治癒術を起動した。

声を上げながらモンスターの群れへと突撃していった守護騎士達が今、正に戦闘を開始しようとした時だった。
遥か上空から闇色の線とそれに導かれるように光の羽が高速で通り過ぎ、周囲のモンスターを一掃していった。
「・・・は?」
光の羽が飛んできた方角、街の中央の上空へと振り返る。
純白の翼を纏った誰かと、それに寄り添うように佇むもう一つの影。
「・・・・・・」
「・・・・・」
「・・・」
しばし無言で立ち尽くす。
「と・・とりあえず避難だな。」
互いに頷きながら同じように立ち尽くしていた住人達と合流し、街の外へと移動を始めた。

「何だったんだ・・今の?」
狩月が空を見上げながら呆然と呟く。
「たぶん・・・彩だと思うけど、すごいな。」
街の外へと歩きながら、会話を続ける。
「・・・公園か。」
静かにそう呟き、中央公園へと歩き出すシンギ。
「ちょ・・何処行く気?」
エミが呼び止めるが無言で歩き去っていく。
しばらく立ち止まっていたエミだが、「仕方ない」そう呟くとシンギの後を追うように方向を変えた。
「・・・私達も行きましょう。」
ロアが提案し全員で中央の公園に向かう。

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