《MUMEI》
すれ違う刃
「ふぅ・・疲れた・・」
公園のベンチに座りながら腕を伸ばす彩詩。
その隣ではハンディングも座っている。
「動けるヒト達は西の林に移動させた方が良くないですか?」
アイズの提案によって結果内に居た怪我人達は全て移動済み。現在公園に残っているのは彩詩、ハンディング、リース、式夜の4人。
ごまも残ると言っていたがキティホークが一撃の元に黙らせ、連れて行った。
「ねぇ・・式夜、この事件の報告書って、私が書くの?」
そういえばと言うように話しかける。
「はい、やはり団長の仕事だと思いますし、バンプ副長も重傷ですから・・恐らく主人がやらなければいけないと思います。」
「えぇ〜・・式夜は手伝ってくれないの?」
「残念な事に、私も重傷ですから。」
そんな会話をしながら休憩を楽しむ。
ソコへ・・
「神守彩詩だな?」
双剣を携えた剣士、シンギが静かに現れる。
「シンギ・ノトス!!」
式夜が即座に無銘を抜き放つがそれを押し留めるハンディング。
「・・俺の狙いは神守だけだ、邪魔をするな。」
そう言いながら双剣を構える。
「どんな理由か知らないけど・・売られた喧嘩は買うよ。」
彩詩も剣を抜き放つ。
「く・・」
リースも槍を構えるが攻撃をするつもりは無いようだ。
「ごめん、タイマン希望らしいから手を出さないでね。ハンド・・みんなを余波から守ってね。」
そう言って、笑う。
「言われるまでも無い。」
ハンディングが結界を展開する。
それが・・開始の合図となった。
ギギギギィン!!
互いに高速を持って切り結ぶ。
魔力によって強化された剣戟の一撃は打ち合わされる度に衝撃波を撒き散らせ地面を破壊し、破片が宙を舞う。
「遅い!!」
双剣が上下左右4方向から一斉に繰り出される。
後退し、4連撃を回避する彩詩。
「はぁ、はぁ・・後のことなんて考えてたら負けるね・・」
彩詩が全身に魔力を通す。白い燐光が舞い始め・・その燐光が彩詩の持つ剣に吸い込まれていく。
「・・・流石、と言った所か。」
押しているように見えたシンギの肩口が鮮血に染まっている。
劫火が炎を纏い、蒼海の周囲には煌くように水滴が浮いている。
「お互い様・・でしょ?」

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