《MUMEI》
卒業アルバム
,





2月も終わり、3月に入った。



風はまだ少し肌寒いけど何だか"春"って感じがした。





「とうとう3月だ。お前らはもうすぐ卒業……残り少ない日々を楽しく過ごせよ」



先生は皆にそう告げる。



何か……


寂しい感じがした。



卒業…



たった二文字なのに、とても重く感じる。



それはきっと、


私が此処までこれた証。





「俺らが卒業かぁ〜…」


雅也が寂しげに呟く。


「早いな…」


「そうだね…」


卒業式は3月5日―…



私たちの高校は他の学校よりも少し遅めなんだ。



私たちは早めに配られた卒業アルバムを開く。


そこには、笑顔の皆がいて…


一枚、一枚が小さい写真だけれど大きな大きな宝物に感じられた。



「なっつかしいな……」



「うん……」



文化祭のページを開いた。



遥だ…………



私たちと一緒に笑顔でピースする遥がそこにはいた。



遥―……



遥が……いるよ。



此処に……ちゃんといるよ。




「遥―…何時もの笑顔だ」


雅也は嬉しそう。


「輝いてるね…」



遥?


今、笑ってる??



私たちの近くにいる??



遥に此の写真みせたいな…。





「遥の為にも胸張って卒業しないとな!!」


「うん!!」





卒業式は4日後―……





胸張って………






卒業しなくちゃね…。










,

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫