《MUMEI》
紅い薔薇の剣
「主人!!」
ハンディングの結界を飛び出そうとした式夜をリースが押さえつける。
「ダメだ・・今出たら・・」
二人が戦っていた辺りを見続けながらリースが声を出す。
「・・・ッ!」
自身の身に強力な防御結界を纏いながらシンギが肩に突き刺さった彩詩の剣を抜き、彩詩に向かって投げ捨てる。
「・・・・これで全力?」
剣を拾い立ち上がる彩詩。
鎧が熱で変形し、斬撃が通った部分は蒸発し、赤黒く焼かれた肌が見えている。
右肩から斜めに走る斬撃の後、あまりの高熱に陽炎に揺らめいている。
背に纏っていた純白の翼は右翼が消え、片翼となっている。
トン・・
蒼海が音を立てて地面に刺さる
「・・ち、この程度で・・」
強引ともとれる動作で蒼海を拾い上げ構え直すシンギ。
「ふぅ・・熱で剣がダメになるなんてね。」
彩詩が拾った剣を鞘に戻す。
刀身は熱で溶解し、柄は完全に燃え尽きていた。
「夜霧だけじゃ対応は無理だし・・来なさいクリムゾンローズ。」
左手に夜霧を構え、右手を眼前に出す。
キィン・・
金属音を響かせ、彩詩の手に剣が握られる。
刀身は普通の銀色、だが柄は真紅の蔦が絡まったかのような装飾がされている片刃の騎士剣。
数秒の間、その後には示し合わせたような両者の疾走があった。

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