《MUMEI》
涙の卒業式
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3月5日―……
卒業式



千夏の目は既に腫れていて朝、泣いたのかな…って思った。


真琴は一生懸命、涙を流すのを堪えていた。


雅也は卒業式前だとゆうのに俯いたまま…。



私は……




昨日の雅樹のことだけが、頭の中でぐるぐる回っていた。



あの後、
雅樹は自分の家に帰っていってしまった。


一体……



何だったんだろう。






『これから第53回、卒業式を始めます』


何時もよりも、低い理事長の声が響く。


それはまるで、寂しさを物語っているようなものだった。



理事長の話……



お祝いの言葉……



などと、着々と卒業式は進んでゆく―……。



遂に卒業証書が渡される―…



『1組代表……北井千夏』



「はい…」



千夏……代表だったんだ。



千夏の瞳はもう充血した感じまで赤くなっていた。




私はそんな千夏につられて涙を流す。



色々な思い出が蘇ってくる…



文化祭…


体育祭…


最後の夏休みと冬休み…



思い出を数え出すとキリがないよ…




『5組代表……新井真琴』


「……はい…」


真琴まで代表なんかやっちゃって………


あんなに目立つのが嫌いだった真琴が―……



真琴はさっきまで我慢していた涙を一気に流していた。



皆の鳴き声が体育館に響き渡る中―……



遂に最後のクラス……


私たちのクラスだ…。



『8組代表……夏川雅也』


「はい…!!」


最後まで元気な奴……



泣いてるくせに……






楽しかった高校生活―……





私に色々なことを教えてくれた高校生活―…










一生、忘れられない高校生活は









私たちの涙声と共に………











幕を閉じた―……………












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