《MUMEI》
バレエまたはスター
鮮やかに舞いながら、散っていく、春の花。                         まるで、それはまだ幼い、桃色の頬した小さな踊り子が、 はらはら、 ほろほろ 弱々しく舞っているように見えた。           花が散るのは、もう春が終わって、今年の花びらが死ぬ合図。           なのに、そんな初々しい想像をするのは、何だか残酷だ。                                                                                            「…はい。ぼくの名前は碧嶋…」
名前を聞かれたら、答える。                       反射的にしてしまうことのひとつ。


「…春君だね?」

確かめるというより、「きみは、こうだ。」と決めつけるかんじで、白いスーツの人は、言った。




「そうですけど…なぜ僕の名前を?…。」

当然。質問した。

すると、その人は、今度は、ごく自然なかんじで微笑み、綺麗な歯並びの歯をかすかに見せながら、


言った。



「君とは、取り引きがしたいんだ。」

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