《MUMEI》 温もりそれから『トモ』は、おれが行くとこ どこでも付いてくるようになった。 「な〜、ポチ〜… お前吠えないね」 ある日、『トモ』が言った。 おれが 『ヒンッ』 と、声にならない声で吠えてみせると、 「…お前…声、出ないのか…??」 途端に、『トモ』は哀しそうな顔をした。 こんな顔されたのも初めてのことで、 少し、戸惑った。 『トモ』はいつもおれと一緒に寝て、 おれと一緒に遊んで、 おれと一緒に歩いた。 いつしかおれは、 『トモ』の家に住むことを許されていて、 『トモ』の『お母さん』も、 いつも優しかった。 おれは、 初めてのことだらけの毎日に、 少しづつ、『温もり』を感じるようになっていた。 前へ |次へ |
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