《MUMEI》 お絵かき「…美咲、それは……ウサギ??」 恐る恐る訊ねる。 「違う!!!これは、ぞうさんだよ!!!」 …あー… また、やってしまった。 3回連続、不正解。 だって、耳長くて、にんじん食ってんだもん!! 手がかり少ねえよー… 「…もー…!!えっくんが描いてよ!!」 ついに、美咲は鉛筆を投げ出してしまった。 …いやいや、美咲の前衛的な絵、 オレ好きよ?? 機嫌取りを兼ねて、 美咲の好きなキリンさんを描いてあげた。 「うわあ!!やっぱりえっくん上手いねえ♪」 「いや、美咲のほうが、芸術的でいいよ☆」 …ああ、兄バカ…!! オレの描いたキリンを、 美咲は相当気に入ったらしく、 「部屋に貼る!!」 と、持っていってしまった。 一人取り残されたオレは、 またぼんやりと物思いにふけった。 机に広げられたチラシの裏。 そこにはたくさんの動物が描かれていて、 まるで、秩序の無い動物園みたいだ。 その中に1枚、 美咲が描いた『お姫さま』の絵があった。 …動物園に、お姫さまか… おもむろに、『お姫さま』の絵を手に取る。 きらきらの目はでっかくて、 姫はドレスを着て、微笑んでいる。 …お姫さま、ね… オレはまた、あの細い肩を思い出していた。 前へ |次へ |
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