《MUMEI》
つねみつ
裏に確かに長く使っている厳かなかんじの?家が建っていた。
引き戸から入るのは教室と和室意外は初めて。

「バァちゃーん。ただいまあ。」

「お帰りぃ」

かわいらしい祖母が出迎えてくれた。俺の祖母は小さな頃に会ったくらいだし、新鮮だ。

「お邪魔します。みきすね君の友達のツンです。」

「あらあら、はじめまして」

目尻を下げて微笑む姿もほっとする。

「バァちゃん今日悪いんだけど泊めていい?
家事とか得意らしいから俺ともどもこき使って!」

「ここで話さなくてもいいでしょ。早く入りなさい今日は寒かったからねぇ」

腰を曲げてちょこちょこ歩く後ろについていく。
なんだか安心する空気。

「ただいまー。」

入ってすぐの居間に『ジィちゃん』が座っていた。
……確かにカッコイイ

姿勢良く背筋を伸ばし長い手足を緩く伸縮しながら老眼鏡でまじまじ新聞紙を広げているだけで絵になる。

横顔の精悍さに息を飲む。
背もみきすねより高そう。

髭の似合う渋い御祖父様だった。

「カッコイイだろ?」

にやりと笑われた。

否定はしない、小さく頷いた。
長い管が通るストーブにあきすねと二人並んで暖まる。
祖母が温かい緑茶を頂いた。あまりに熱くて持つのもままならず氷を入れさせてもらう。
舌先で口に含んでも安全だという温度を確認する。

ああ落ち着く。
溜め息も出てしまう。

「今日お友達が泊まるなら風呂沸かしなさい」

「わかったー。ツンはバァちゃんの手伝いして」

台所できびきび働く祖母の方へ行く。

「俺、テーブル拭けばいいですか?」

フキンを持つ。

「あら、悪いね。箸もお願い。」

「はーい」

やんわりとしたトーンに顔が自然と綻ぶ。

可愛い祖母に格好イイ祖父、……羨ましい。





四人で低いテーブルを囲んだ。
これもあまりやったことない晩御飯だ。

みきすねと祖母は学校やご近所さんのこと料理のことを話す。
時々祖父は相槌を打つ。

「こんな別嬪さんがみきすねの友達だなんてね。
何も無いとこだけどゆっくりしてって?」

「いえ、こちらこそ突然押しかけちゃってすみません。綺麗な雪こんなにたくさん見たの初めてでとても楽しいです。」

やんわりと内から滲む温かさがある。
この辺の感情はまだ発展途上で誰かに見せるのはまだ特訓中で照れる。

「雪あまり触ってないで育ったんだね……昔はあきすねも兄ちゃん達と日が暮れるまで遊んでたよ。
こんな賑やかになのも久しぶり。
孫が増えたみたいで楽しいわあ。」

「俺もです。小さい頃おばあさんとあんまり話せなかったから嬉しいです。」

「……なんか、キャラ違くない?」

煩いな。眉を寄せて驚愕、といったところか。

「遠慮しないでバァちゃんは誰から見てもバァちゃんだから、バァちゃんって呼びなさいな」

「いいんですか?」

ずっと欲しかったおばあさんが目の前にいる。
血が繋がっていないのに孫と接するみたいにおおらかだ。

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