《MUMEI》
最悪の出会い
あたしは、休み時間中、こないだ2人で買ったという、下着について色々聞かされた。
「やっぱりさ、美夏、巨乳ー」
唯が横目で美夏をみる。
「やーあ、それわないから!てかてか、亜衣は何カップ??」
美夏が目をキラキラさせる。

「………は、いいたくないしっ、
美夏こそ何カップさ?」
「あたしはあー、A、B、C、……Dだよん」

D??凄…。小柄で肉付きのいい身体だけど、別に美夏は太ってない。
ボンっきゅっボン
なんだなー。
「あたしはCだもんー」
あたしは机にひじを立てながらゆった。
「Cとか、うらやましいしっ」
唯がおっきい目をパチクリしていう。
「あたしは唯のスタイルがほしーのさあ」

あたしは超モデル体型の唯がうらやましい。









サヤは、どんな身体だったっけ…。
あたしよりも、美夏くらい、美夏以上に胸は大きいのかな…。
白くて綺麗な肌なのかな…。
佑は触って、入れて、
気持ちよかったのかな…


なんで、
なんでこんな気持ちになるんだろう…。

「佐倉ー、ちょっと。」
「?」
一瞬、佑の声に錯覚した。あたし、会いに来てくれるとでも思ってるのかな……。
あたしの、ばか。

廊下のドアに立ってる黒髪の男子があたしに手招きした。
あたしは、一瞬抵抗した。
「あれって、小酒井ぢゃないー?」
美夏が驚いたかおでいう。唯も無表情ながら、小酒井を睨み付けている。
唯は、人見知りでCOOLなため、
慣れない人への接しかたは尚更COOLだ。


小酒井くん…。
て…

あたしが抵抗したのは、その黒髪の男子の後ろに、金髪で眉毛がヤンキーな男子がいたからである。
「佐倉、はやくー」
黒髪の男子が呼ぶ。
黒髪の男子は金髪の人と仲よさ気に話している。
「亜衣ちゃんだよね、
ちょっときてくんない?」

その声は、金髪男からだった。


黒髪の人は中池君だもん。
だから、
美夏たちが見て、驚いてる人は、
小酒井くん。
小酒井くんは、
この金髪男か…。



あたしは席を立って、
金髪のもとへ歩いた。


「なんですか…?」
あたしはなるべく普通に接した。
「オレ、小酒井琉。りゅうだから!」

「あ、うん…、あたしは佐倉亜…」
「よろしくな!」
小酒井はあたしの自己紹介も聞かないで、
いや、聞いてほしかったわけではないけど
かなり一方的だった。

よくアレンジしてある金髪の、眉毛が細くて
Yシャツはボタンをかなりあけていて、
香水の匂いがほのかにわかる。
目はぱっちりだが少しタレ目。


あたしは思った。


こいつ、絶対タラシだ。





「オレ、亜衣ちゃんのこと、入学したときからいいと思っててさ。
でも文理の黒沢てやつベッタリだったから、付き合ってんのかと思ったんだよね。」


「や、付き合ってないけど…」

「まぢで?!やっぱ?
オレさあ、最近一緒にいるとこ見ないから?これ、チャンスだーとか思って、今日きたわけ!」

「…え?」

「今空いてたらさ、オレと、付き合わね?」









「なんだ、オマエ」









とは、言えるはずもない。
クラスの男子はヒューとひやかす。


あたしはただ呆然としてた。






コイツ、軽いってもんじゃない…



でも、











言ってる目が、
本気だった。







これが、
あたしと小酒井琉との出会いだった。

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