《MUMEI》

「あのさ、いきなりそんなことゆわれても、…」
「や、分かってるよ!だから、考えといて。」

小酒井は片手を軽く上げて、廊下を後にした。
「あっ琉でいーからな」
「あ、うん…」


あたしはクラスメイトの視線を浴びながら、自分の席に戻った。
「ちょっとちょっとちょっと〜!小酒井くんと、どーゆー関係よおっ」
美夏が興奮気味にきいた。

「や、今初めてだけど…」

あたしは髪を、手ぐしで軽く通しながら首を傾げた。
「佐倉-、お前、気をつけろよ-」
「小酒井もよく探したよな-」
近くの席の髪ツンツンの男子たちがいう。

「気をつけろよって、そんな怖い人なの?」

あたしはその男子に向かってきく。

「あー、佐倉とか、なんにも知らなそうだよな」
男子らは笑いあう。
「そ-。この子、純粋でさアー」
美夏が相槌をうつ。
唯は普通に黙ってきいている。

「小酒井は、学年でもNo.1なほど軽くて、ヤるのが大好きなんだよ」

「付き合った初日から、お泊りだもんな」

「やべーらしいよ。喧嘩もクソ強え-し」

えええ…


なんか、典型的だな。

「まあ、佐倉がどんな答えだしても、女に暴力とかはしねえからな。
まあ一応考えてやれよ」

中池君がポンとあたしの肩をたたいた。

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