《MUMEI》
登校
『奈緒ーおはよー』
木名瀬君が待ち合わせの角で大きく手を振っている。


木名瀬啓志 16歳


『おはよう。木名瀬君♪』
『うー…今日も寒いなぁ…奈緒!手!』
『へ?』

あたしが右手を差し出すと、木名瀬君がギュッと握って来た。
手袋ごしでも、温かさが伝わる。

『行こう!遅刻しちゃうよ』
並んで歩きだす。


これがいつもの朝。

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