《MUMEI》 遠くで予鈴がなった… 気がする……… 「おきなさ-い」 頭をツンツンたたかれた。 「あ-、唯…おはよー」 「美夏が先席とりに行っちゃったよ。今日食堂でしょっ」 「んああ…? あっ!?そうだったね! ごめんごめんー すっかり4時間目は 爆睡してたよー」 あたしらはふたりで 食堂に向かった。 「亜衣は小酒井の、 どーすんの?」 人並みが混雑な中、うちら二人は廊下の真ん中を歩く。 「え? 付き合うはずないじゃん… 危ないんでしょ? だいたい… や、 なんでもないやあ」 あたしは 自分を疑った。 《だいたい、 あたしはいつも 佑と一緒だから》 と 言いそうになったんだ。 佑は…もうただの幼なじみ。 「?? まあ確かに亜衣には 早い相手かもねー?」 唯がふざけていじわるそうに笑う。 「最悪ー。 あたしだって そこまで純粋でも な……………いよ……」 サヤに言われた言葉が、 また蘇る。 あたしはホントに なにも知らないのかもしれない。 「でもさー、 試しにいろんな経験してみるのもいいかもよ?」 唯がぼそっとつぶやいた。 「いろんな経験ってあんた…」 あたしは そういって ごまかしたけど、 確かに経験は 足りなさ過ぎてる と思い始めていた。 こんなCOOLな唯でも、 押し倒された 経験がある。 細身で色白で 目がクリッとしている唯だ。 押し倒したくなる気持ちもわかる。 美夏だって、 確かにケバいけど 綺麗だし あんな身体は魅力がある。 付き合うって、 性格がお互い 大切なんだろうけど、 やっぱり襲いたくなるような 身体が必要なのかな… あたしはそんな身体じゃないよ…。 身体目当てで 女と付き合うような 小酒井…いや琉は、 どうして あたしなんか選んだの? あたしは、 ただただ 考えていた。 前へ |次へ |
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