《MUMEI》
不吉な予感
,



何時もの朝、


何時もの部屋、


何時もの風景、


何時ものベッド、


そして何時もの私。




今日は6月7日…


雅樹と雅也の誕生日。


だからといって、特別な朝ではない。


そう、


普通だったんだよ。


何時ものように普通だったの。


何もかも………普通だった…。


雅樹から"おはよー"とゆうメールもきていて、雅也から"俺たちの誕生日だ!"ってメールも。


ここまでは―…



普通だった……。



私はケーキと雅樹たちへのプレゼントを持って、家を出た。



何時もより気分がいい。


天気は雲一つなく、快晴。




事務所へ向かう途中で花梨と聡くんに会い、一緒に事務所へ向かう。



「皆おはよー!!」


友梨が笑顔で走ってくる。


私も笑顔で友梨の元へ向かう。


「あっ!!コレ彼氏へのか!」



「まぁね!」



「可愛いラッピング〜♪秋菜の彼氏は幸せだね!!」



「そんなことないって!!」






今の時刻、10時53分。



もうすぐ11時!



あと、約30分で仕事は終わる。


そしたら雅樹に会える!



私は自然に笑みが溢れる。



雅樹、喜んでくれるかな??



楽しそうな私を見ながら花梨と友梨は、私をからかってくる。


でも何だか嬉しくて。



「もぅ!!この幸せ者!」



「幸せ分けてよ〜!!」



「2人だって幸せでしょ!!」



私はそう言いながら自分の荷物を整理する。




その時―…






―コロン







普段、落ちない筈の指輪が床に落ちた。







何故か分からないけど、不吉な予感がした。








私はシルバーリングを拾い、指にはめる。









時刻は11時16分―……










私のケータイが鳴る。









私はおそるおそる電話に出た。










何故か涙が瞳に溜まる。











電話の相手は雅樹のお母さんだった…。












『秋菜ちゃんっ!早く、来てちょうだい……まさ……』







ピッ









私は電話を反射的にきった。








そして荷物を持ち、事務所を飛び出した。








後ろから友梨たちの声が聞こえる―……









私は振り向きもせずに走りつづけた。
















―「秋菜〜!!プレゼント楽しみにしてるぜ〜!!」―















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