《MUMEI》 笑顔を見せて……, 私と雅也は雅樹の病室まで走った。 ―バンッ 雅也が勢いよくドアを開けるとそこには雅樹のお母さんとお父さんが、声をあげて泣いてた。 ベッドの近くでは看護士さんたちも泣いている。 何で?? 何で泣いているの?? 雅樹はただ、ベッドで寝ているだけじゃない―…。 寝ているだけ……なのに…。 私は手に持っていた荷物を全て床に落とした。 雅也はいつの間にか雅樹のベッドのところにいた。 「おいっ!!雅樹っ!起きろよ!!何、寝てんだよっ!!今日は俺たちの誕生日だろ!?19歳になるんだぞ!?」 雅也……?? 雅樹は何時か起きるから平気だよ… 疲れてるから寝てるんでしょ?? 「ふざけんなよっ!!お前がいなくなったら沢山の人が悲しむんだよ!目覚ませよ!!雅樹!!」 私の頬を何かが伝う…… あれ―……?? 私、泣いてるの?? 「秋菜が来てるんだぞ!!お前にプレゼント、持ってきてるんだよ!!こんなカッコ悪い姿見せてんじゃねぇよ!!雅樹っ!!」 雅也は泣きながら叫ぶ。 私は雅樹に近づき、雅樹の髪を撫でた。 相変わらず綺麗なんだから…… 「昨日……笑ってたじゃねぇかよ……プレゼント楽しみにしてるって言ってたじゃんかよ!なのに…何でだよ…」 雅樹―……… 雅樹―……… 私、此処にいるよ…?? 雅樹―……… ずっと一緒にいるって…… 言ってくれたじゃない… 私のこと幸せにしたいって…… 言ってたじゃない…… 一緒に芸能活動したいって…… 言ってたじゃない…… 約束だよって、 言ったじゃない…… 今日、 雅樹の誕生日だよ?? プレゼントあるよ?? ケーキだって作ったんだよ?? なのに… なのに… なのに… 「何でよ…雅樹っ!!」 起きてよ… 起きてよっ!! まだ逝かないでよ…!! 私のこと、 おいていかないでよ…!! ―「秋菜……愛してる……」― もう一度言って……… 私の耳元で囁いて……… 優しくキスして…… キツく抱きしめて……… "秋菜"って、 笑いながら呼んで……… 笑顔を見せてよ… 雅樹―… , 前へ |次へ |
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