《MUMEI》 条件「泉くんの言いたいことはわかった。…で、泉くんがオレの今から出す条件をのむなら、協力してあげるよ」 「条件……?」 こんな僕なんかを助けてくれる人が、酷い条件を出してくるとは思えない。自然と首は縦に動いていた。 「わかりました。条件、のみます」 「男の約束、な。二言はないだろ?」 「ハイ!」 「オレの条件、それは成績を上げること。それだけだ」 一瞬、先輩が何を言ったのかわからなかった。聞き返す時に間抜けな声が出て、ちょっと恥ずかしくなる。 「ぅえ……?」 「オレはお前に人の殴り方を教えるんだ。この学校は実力社会。頭が良ければ何したっていいんだよ。だけど、このままの成績じゃまたアイツらみたいなヤツらに絡まれる。そうしたらお前はオレが教えた方法でそいつらを傷つけるだろ?それじゃだめだ。お前が傷つけていいのは、オレに人の殴り方を聞いてまで復讐したい相手だけなんだよ。オレは、それ以外を傷つけて欲しくない」 「どうして復讐したい相手がいるって……」 先輩の口許がクイッと持ち上がった。 前へ |次へ |
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