《MUMEI》

ポンポンを整えながら胸に携えた。
スズランテープ製のせいかボリュームが最初より減っている気がした。


二年生の発表が終わる。

「行っくよー!完 全 燃 ショーイ!」

訳の分からない七生の掛け声に合わせて拳を突き上げた。

あんまり緊張して頭がくらくらした。

皆の拳が当たり勢いに気圧されそうになる。

緩んだ拳に指先が滑り込んで来た。
何度も何度も触れた知っている指の温かさだ。


…………七生の指

俺を励ましてくれた?


皆が颯爽と歩く中、掌を何度もぐっぱーしながら余熱を確かめる。

うん。
少しだけ、リラックス出来たかな。

深呼吸して後に続く。

大丈夫、七生もいるし。
皆いる。



きっと楽しい。
だって、今日は学校祭だから……。



好きだな、皆が一つになっていくかんじ。

手も足も心も弾けて踊って……。

きっと今鏡と向かい合ったら笑っているだろう。

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